
原木を縦に割ると、まず繊細で透き通るように美しい繊維に眼を奪われます。
同時にフィットンチッド(森の香り)という植物から放出される挿発性のエキスが漂い、
なんともいえない清涼感に包まれます。
木の色は外側は透明感のある乳白色で、中心に近づくにつれ、色は次第に濃くなり、
繊維はゆるやかな波線曲線を描きながら、茶や褐色の色を帯びて、渋味のある色合い
を形成します。
今、わたしたちの日常に無垢の原木は、ほとんど存在しません。
集成材という、木片を大量の接着剤という名の化学物質で作り上げた、外観
だけは木と同様なものが、日本中のあらゆる建築物に使われているからです。
しかしそれは、「樹木」ではありません。
それだけに無垢の木に触れることができるこの一時は、いつも特別なことに
感じます。

割った木は、薪小屋で寝かせ、一年間乾燥させて来年の冬用の薪となります。
不揃いな木の形が、寸分の狂いもない均質な大量生産品を見慣れた私の目には、
とても新鮮に映ります。