
6月初旬、この時期の楽しみは5月の「新茶」が製茶され、
若々しいお茶の香りと味を堪能できることです。
私は毎年、これだ!という自分の味覚に合ったお茶を造っている生産者・数名と
独自に契約をして、自分に嗜好に合ったお茶を確保させてもらってます。
残念なのは、市販のお茶は、さまざまなカラクリ・細工がほどこされていて、
その土地の純粋な風土が茶に反映されていない、玉石混合のモノが非常
に多いので、全く買う気になれないことです。

茶の神髄ともいうべき本を紹介します。
岡倉天心が1906年に書いた「茶の本」(岩波文庫)。茶をもって、東洋、
そして日本を語る、茶を超えた日本文明論ともいえる傑作です。
この本を読みながら茶を飲むと、茶が無農薬であるとか、産地がどこだとか、
そのような商業主義の道具に貶められた現代の「茶」に、私は大変申し訳ない
と詫びずにはいられない気持ちになります。
この本は、インドの詩人・タゴールとも親交が深かった知の巨人・天心の
独特の言い回しや比喩で綴られ、東洋人であることに、日本人である
ことに、茶の文化をもっていることに自然と感謝したくなる、私たちの源泉、
魂に触れる趣をもっています。
「考えてみれば、煎ずるところ人間享楽の茶碗は、いかにも狭いものでは
ないか、いかにも早く涙であふれるではないか、無辺を求る渇きのとまらぬ
あまり、一息に飲み干されるではないか」
「茶は純粋と都邪を崇拝すること、すなわち主客協力して、この浮世の姿
から無上の幸福を作り出す神聖な儀式を行う口実となった。茶室は寂寞たる
人世の荒野における沃地であった。そのすべて背後には微妙な哲理が潜ん
でいた。茶道は道教の仮りの姿であった。」
本文より