
私は大袈裟に言えば、この一品を出したくて、レストランを出店したような
ものです。
日本には御存知「味噌汁」という素晴らしく滋養の高いスープがあります。
近年は、良い味噌が少なくなり、出汁を摂る手間も時間も費用も惜しむように
なり、大豆は日本大豆ではなく米国産になり、本物の味噌汁とはかけ離れた
ものが多くなりましたが、しかし、本来の味噌汁はスープの傑作だと思います。
しかし、その味噌汁に比類するものとして、私は「玄米スープ」を挙げます。
当店の玄米スープは、地下から汲み上げた水に、合鴨農法の有機玄米、
同じく有機の原木栽培の椎茸、五年完熟梅干し、そして石垣島の塩を
少々入れ、じっくりと煮込みます。滋養に富んだ素材のエキスが水に
溶け出し、スープとなって身体に染み込んでくるのです。
鍋は必ずホウロウを使います。酸に強く、いろんな成分を変質させないからです。
我が家では、子供が熱を出したり、風邪をひいて食欲がないときにこのスープ
を作ります。また、私や妻も疲労が蓄積したときや、具合が悪いときなど、
このスープに助けられます。
私はこのスープを飲むとき、日本の食はなんと素晴らしいものかと、感慨深く
ならずにはおれません。
薄味の、仄かに玄米の香りと昆布の旨みの利いた滋味あふれる一品なのです。